エンゲル係数と貧困
エンゲル係数(消費支出に占める食費の割合)が高いと貧困とする説があります。
これは、食費は極端な節約が困難であることが根拠とされています。
実際に日本でも戦後直後はエンゲル係数が60%くらいの人が多かったようです。
エンゲル係数と貧困の相関
ただ、最近は、高いエンゲル係数は必ずしも貧困を指すとは限らないという意見もあります。
<都市部では住居に関わる費用が高い>
賃貸でも住居費が家計の大きな比率を占めるケースも多くあります。
<光熱費、通信費、生命保険掛け金、教育費などの固定費が高い>
固定費は契約の見直しをしない限り、高い金額を払い続けることもあります。
住居に関する費用、固定費が高くなると、食費は相対的に小さくなり、エンゲル係数は低くなりますが、家計に余裕があるか、というとまた、別の話です。
参考までに日本のエンゲル係数も調べてみました。
おおよそですが、過去数年は23%~25%前後で推移しているようです。
ちなみに私のエンゲル係数も計算してみました。
エンゲル係数は、「消費支出に占める食費の割合」ですので、税金(固定資産税、自動車税含む)や社会保険料(国民年金掛け金、国民健康保険料等)は消費支出に含まないで、計算します。
予算ベースで計算すると、約22.5%でした。
平均に近い数字でした。
極端に高くもなく、極端に低くもなく、感想も特に出てきません。
そういえば、Lean FIRE生活者の中には、食費が月1万円前後の人もおり、エンゲル係数は10%~20%の間のようです。
ん?エンゲル係数で見ると私よりも豊かな生活をしていることになっている?
エンゲル係数は廃れている?
エンゲル係数は、1857年にドイツで発表された係数です。
その当時と現代では、生活様式や家計の内訳が大きく異なり、貧困を表す係数としては、有用性が低下しているのかな、と感じます。
最近は、もっとダイレクトに
・年収
・金融資産残高
で比較されます。
不動産を含まないから、それでも不十分だという指摘はありますが、現代ではエンゲル係数よりは貧困との相関が高い、と言って差し支えないでしょう。
つまり、年収が低く、かつ、金融資産残高が少なければ、貧困層である可能性が高いということです。
エンゲル係数という言葉自体は、現代では実態を表しておらず、忘れられていくのではないでしょうか。