アーリーリタイア徒然草

50歳でアーリーリタイアしました。アーリーリタイアについて心に思うことを書き連ねていきます。

流動性知能と結晶性知能とAIの将棋ソフト

流動性知能とは? 結晶性知能とは?
将棋の藤井聡太棋士が以前のインタビューで流動性知能について、言及したことがあります。
それ以降に、ときどき流動性知能という言葉を耳にします。


流動性知能は、新しい環境に適応するために、新しい情報を分析し、対応していく知能を指しています。


一方で、対義語のように使われる言葉ですが、結晶性知能は、経験、学習などから獲得していく知能を指しています。


将棋のような局面が次ぎ次ぎと展開していって、その状況に応じて指し手を考えるのは、流動性知能の役割が大きいと考えられています。


最初に流動性知能、結晶性知能の話を聞いたときは、こういう分類、考え方もあるんだ、と新鮮に感じました。



流動性知能の結晶性知能の関係
しかし、最近は、流動性知能、結晶性知能に関する私の捉え方が変わってきました。
まず、例として、AIの将棋ソフトの話をします。
AIの将棋ソフトは、ひらすら対局を繰り返して、その対局から学習して、将棋の腕を上達させていきます。
そして、対等な対戦相手(人間の上級者、他の将棋ソフト)が周囲にいなくなると、AI同士で対局させて、さらに学習し、さらに将棋の腕を上達させます。
そして、最終的には名人と対局しても、勝てるレベルにまでなります。


このAIの将棋ソフトは、ひたすら対局を繰り返して、学習をした結晶性知能を蓄積して、名人に勝てるレベルになる訳ですが、それでは将棋は流動性知能の役割が大きいという考えと矛盾が発生してしまいます。


そのため、個人的には以下のように解釈しています。
人間のある分野の能力(例えば将棋)を分類、整理する際に便宜的に流動性知能、結晶性知能の2つに分けて考えることは、その能力を説明したり、理解したりする際には有効である。
しかし、流動性知能、結晶性知能は、お互いに相反するものでもなく、片方の知能を高めることでもう片方の知能を高めたり、あるいは、2つの組み合わせることで、より高い能力が発揮されるものである。


その分野の学者でもない一般の人には、流動性知能、結晶性知能の厳密な定義には、それほど意味がないのかもしれません。


ただ、臨機応変で柔軟な対応(流動性知能)と知識・経験に裏付けされた確かな対応(結晶性知能)の両方を組み合わせていくことが大切であり、高い能力が発揮されるものだと、思うようになりました。


将棋に限ったことではなく、仕事や人間関係のような社会生活もそうなんだろう、と思います。
だから、臨機応変な能力も経験、学習によって得られた知識も両方大切なんですよね。


将棋の世界は、勝ち負けがハッキリとつくので、知能の研究、あるいは、AIの研究には、いい題材なんでしょう。


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