アーリーリタイア徒然草

50歳でアーリーリタイアしました。アーリーリタイアについて心に思うことを書き連ねていきます。

「写真の町」宣言で町おこし

北海道にある東川町が「写真の町」宣言を行い、写真を中心にしたイベント、街並み、景観を利用して、人口増に転じた話が記事となっていました。


とても面白い記事でした。

1950年の人口1万754人をピークに、他の地方の自治体と同じく、人口減少の一途をたどっていた。

だが、1994年から人口の増加が始まり、2020年までの27年間で19.4%の人口増となっているのだ。

(中略)

東川町は国内最大の山岳公園である大雪山国立公園区域内にあり、北海道最高峰の旭岳など美しい景観に恵まれている。

(中略)

1985年6月1日に「写真の町」を宣言した。

同年から東川町国際写真フェスティバル(以下フォトフェスタ)を開催し、写真の町東川賞を創設した。

(中略)

フォトフェスタを続け、国内外の著名写真家を取り上げ続けることで東川町は町としてのアイデンティティーを確立していく。

その結果1991年に生まれたのが、全国の高校写真部・サークルを対象とした「全国高等学校写真選手権大会」(愛称:写真甲子園)だ。

1994年にスタートしたこの大会は、東川町の名を全国的に知らしめた。

各メディアが取り上げたことにより、町の魅力を知った移住者が僅(わず)かながら生まれ始めた。

(中略)

写真にこだわったことで生まれた景観も大きなポイントになっている。「写真映りの良い町」を考えると、いい加減な町づくりはできなくなる。

写真の町の拠点となる東川町文化ギャラリー、図書館機能を備えた複合交流施設せんとぴゅあII、東川小学校・地域交流センターその他、どこを訪れても美意識が行き届いており、それは小さな看板にまで及んでいる。

そのセンスに共感する人たちが移住してくると考えると、町は年々美しくなり、それがまた移住者、来街者を呼ぶ。

(中略)

「東川町の場合は移住したことに対して助成をするのではなく、東川住宅設計指針に沿った住宅を建てることや、地下水で暮らす町らしく、水や景観にこだわったカフェやモノづくりショップ等の起業に対して助成しています。

町の進むべき方向に合致することに対しての助成を行っているわけです。移住したからプレゼントというだけでは、定着率も悪いでしょうし、逆に東川町の魅力を下げてしまう結果になりかねません」

(中略)

「写真映え」という言葉のはるか以前から、写真を通じて映える町を作ろうとしてきた東川町。

映えることを単に見た目だけのものと思う人もいるだろうが、東川町がこだわってきたのは見た目の背後にある、文化という見えないものだ。それが町の複合的な魅力を生み、人口増につながっているのである。


東川町は北海道第二の都市旭川市に隣接しており、鉄道はないものの、自動車であれば旭川市の中心部から20分、旭川空港から10分という立地ですので、田舎町と言っても利便性がある立地です。


ただ立地だけでなく、その地域の魅力を最大限にして、それを多くの人に認知してもらえれば、その中から移住する人も出てくる、という手法は正攻法であり、魅力がハッキリとしている地域はとるべき作戦なんでしょう。


日本全体が人口減少社会であり、田舎から地方の中核都市へ、さらには首都圏へ、仕事を求めて人が移動する構造の中で、人口増に転じた数少ない例でしょう。