アーリーリタイア徒然草

50歳でアーリーリタイアしました。アーリーリタイアについて心に思うことを書き連ねていきます。

アーリーリタイアと適正年齢(平均値)

アーリーリタイアの適正年齢を資金面のみから統計上の平均値で計算するとどうなるのでしょうか。


私は、平均値を基準にして、アーリーリタイアの時期を決断するのは、自身の状況を十分に確認せず、決断することになり、非常に危ういことだと考えています。


単に計算したら、どうなるか、というそれだけの記事です。



所要金額
所要金額は、「2,000万円問題」で注目を浴びた金融庁のレポートをベースにします。
つまり、65歳の年金受給開始年齢で、2,000万円です。
私は、平均値で議論しても個人に当てはまらないという考えですが、それでも、金融庁のレポートは、高齢者の就業状況、金融資産のみならず、認知症、人口動態にも言及しており、これからリタイアを迎える人、若い人には十分に参考になると思っています。


金融庁のWebサイトへのリンクを掲載しておきます。(私は、政府関係者でも政府の回し者でもありません。念のため。)


https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf



前提事項の確認
所要金額は、金融庁のレポートをベースにしますので、前提事項も、それに合わせます。
・夫婦で65歳以降の収入が月額209,198円。年金のみで賄えない場合は運用収益、副業でカバーする。
・支出は、月額263,718円、年額にすると約316万円。
・住宅は持ち家(住居費は月額1万3千円余りのため、賃貸では、不可。)
・純金融資産(=金融資産-負債)は
 50代で989万円(=1,596万円-607万円)
 60代で1,862万円(=2,129万円-267万円)
・退職給付は、勤続35年以上で2,000万円弱。(現役合格の大卒だと57歳以上に相当。)
・さらに計算を簡単にするため、夫婦は同年齢。生前は介護が不要で、ほぼ同時期に死去。


計算式
2,000万円+316万円×(65歳-アーリーリタイア時の年齢)の資産があれば、アーリーリタイア可能、ただし、死亡時の金融資産はほぼ0円。


計算例)
50歳でアーリーリタイアするのであれば、65歳の公的年金受給開始まで無収入とした場合は、最低6,740万円(=2,000万円+316万円×15年)必要。


60歳でアーリーリタイアするのであれば、65歳の公的年金受給開始まで無収入とした場合は、最低3,580万円(=2,000万円+316万円×5年)必要。


65歳で定年リタイアするのであれば、2,000万円必要。


*ただし、介護費用、葬式代を捻出するのであれば、その金額を別途、見積もって加算する。



計算結果より
50歳で最低6,740万円必要だが、金融資産が989万円しかないので、退職給付を考慮してもリタイア不可。


60歳で最低3,580万円必要だが、金融資産が1,426万円(=(989万円+1,862万円)/2)あり、退職給付2,000万円弱を加算すれば、ギリギリだがリタイア可能なライン。


65歳で最低2,000万円必要だが、金融資産が1,862万円あり、退職給付2,000万円弱を加算すれば、余裕をもってリタイア可能。


つまり、計算結果からは、平均値では、60歳以上でリタイアが可能となる。



金融庁のレポートより一部抜粋、そして結論
金融庁のレポートのレポートから、一部抜粋します。

この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。


当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。


重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年齢別、男女別の平均余命などを参考にしたうえで、老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか、考えてみることである。


それを考え始めた時期が現役期であれば、後で述べる長期・積立・分散投資による資産形成の検討を、リタイヤ期前後であれば、自身の就労状況の見込みや保有している金融資産や退職金などを踏まえて後の資産管理をどう行っていくかなど、生涯に亘る計画的な長期の資産形成・管理の重要性を認識することが重要である。


上記の内容を要約しますと、
「各々で状況は異なるので、各々が身の丈に合ったリタイア資金を把握して、適切な対応をすべき」、
ということになります。


つまり、平均値で個人に当てはめても、意味をなさないということになります。
私も、この考えに賛成です。


アーリーリタイアする、しないに関わらず、身の丈に合ったリタイア資金をしっかりと考えて、適切な対応をしていく必要があります。


タイトルは「アーリーリタイアと適正年齢(平均値)」としましたが、平均値では、意味がない、という結論です。


この記事を見て、60歳ギリギリでリタイアしよう、とか、65歳で余裕をもってリタイアしよう、と考える人は、いないと思いますが、上記の計算結果は、平均値の計算結果であり、それ以上の意味は、ありません。
リタイアの時期については、平均値の議論に惑わされることがなく、各々が自身の状況を十分に確認した上で、判断することです。