アーリーリタイア徒然草

50歳でアーリーリタイアしました。アーリーリタイアについて心に思うことを書き連ねていきます。

賃金労働と会社員の起源

人類の歴史の中で、賃金労働の概念は、人類の社会の発達とともに生まれてきました。


自給自足の狩猟時代、農耕時代を経て、より分業が進んだ効率的な社会となり、その中で労働を提供することで賃金を得るという仕組みが生み出されました。


貨幣の起源を調べてみると、4500年前に古代メソポタミア文明の記録の中に銀を貨幣として利用していたとあるそうで、分かっている範囲ではそれが最も古い記録だそうです。
おそらく、その頃には労働の対価として、当時の銀を賃金としてもらうことがあったと思われます。
文明が発達するということは、社会の分業も進んでいますので、おそらく、古代文明や4大文明と言われるところには、労働の対価として報酬を得る仕組みは既に存在していたと考えられます。


さらに、賃金労働の仕組みを進化したものが株式会社ですが、世界で最初の株式会社は1602年に設立されたオランダ資本の東インド会社とされています。
つまり、株式会社の原型が設立されてから、まだ、500年も経過していません。


日本での最初の株式会社は、諸説ありますが、その一つの亀山社中(海援隊の前身)の設立は1865年ですので、まだ、150年も経過していません。
その150年の間に多くの日本人が会社員として働くことになったということは、株式会社の急速な普及を示すものです。
その急速な普及は、株主(出資者)と経営者と社員(労働者)を分離するということが、現実的に有効な手法であった、ということを証明しています。


株主(出資者)と経営者と社員(労働者)の中で、今回は、社員(労働者)に焦点をあてます。


その仕組みは、社員(労働者)にも多くの利点があったと言えます。
・新規の資本を必要としないこと
・事業に必要な債務を負うことがないこと
・毎月の給与が支給されること
・多くの面で法的に保護されていること


元手となるお金がなくても、負債を背負う必要がなく、毎月給与が支給され、しかも、法的に保護されている。
これほど、リスクが無いビジネスは、存在しません。
そのため、多くの新卒が自営業を選ばずに会社員となります。


(その代わりに株主や経営者に上前をはねられるので、お金持ちにはなれません。リスクとリターンには相関があり、ビジネス上のリスクが小さいものはリターンも小さい、ということです。)



また、社会保険制度でも会社員は自営業者に比べると有利な点が多くあります。
・厚生年金(老齢年金のみでなく、遺族年金、障害年金にもなります)
・国民年金3号の扱い
・健康保険で扶養親族が何人いても掛金が同額
・傷病手当金の支給
・失業手当の支給
・労災の適用
など


会社員を辞めると、会社員は有利な点も多いということにあらためて気付きます。
多くの新卒が自営業を選ばずに会社員となるのは、合理的な選択だと言えます。



ただ、一方で、社畜、ブラック企業、過労死という言葉に象徴されるような理不尽・不合理なことが起こりえます。
そのため、極端な意見ですが、現代の奴隷制度に近い、という意見も見られます。
別の機会に奴隷制度と会社員の比較について、書いてみたいと思います。


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