アーリーリタイア徒然草

50歳でアーリーリタイアしました。アーリーリタイアについて心に思うことを書き連ねていきます。

「謎理論」アメリカは解雇しやすいから賃金が高い?

ネット記事で、ときどき「謎理論」を見ることがあります。


その一つが、アメリカは解雇しやすいから賃金が高い、という謎理論です。
・アメリカは社員の解雇がしやすい
・だから、人件費を抑えることが出来る
・だから、採用する社員には高い賃金を支払うことが出来るので、アメリカは賃金が高い
・だから、日本も社員を解雇しやすくすれば、賃金が上がる
という理論です。


しかし、この理屈を述べる人は、全く相関のない2つのアメリカの事象(解雇しやすい、賃金が高い)を並べているだけのように私には見えます。


もし、この理屈が本当なら、日本では、解雇しやすい非正規雇用は賃金が高いとなるが、現実は違います。


賃金は、労働市場から人を採用する際にいくらなら採用出来るか、いくらなら人が社内に定着するか、で決まります。
会社は利益に余裕があっても、原則としてそれ以上の賃金を払いません。例外は業績賞与です。


アメリカでは、高い賃金を出さないと人が採用出来ない、人が定着しないから、賃金を高くします。
日本では、(特に非正規雇用は)安い賃金で採用出来る、人も辞めないから、賃金を低くします。


もし、日本で解雇しやすい非正規雇用は賃金が正社員よりも高いのであれば、「アメリカは解雇しやすいから賃金が高い」という説に説得力も増すかもしれませんが、日本の実態を見る限りは何の説得力もありません。


ところが、不思議なことに「アメリカは解雇しやすいから賃金が高い」という謎理論がネット記事から消える様子がありません。


世の中は、多くの人が理由を知りたがっていること(今回は、なぜ日本は賃金が安いのか)ということに関して、いろんな説が出てきて、一見、もっともらしく見えると、間違った説でも一定の支持が得られることがあると思っています。


つまり、間違っていても、それっぽければ、一定の支持を得るというのが、謎理論の正体です。


これ、私、個人の意見です。
でも、もし、皆さんの周りに「日本も社員を解雇しやすくすれば、賃金が上がる」という人がいれば、「なぜ、解雇しやすい非正規雇用は正社員よりも賃金が安いのか」、聞いてみてください。